2000年の映画評



ダンサー・イン・ザ・ダーク (12/31)
こんな話を映画にしてしまって良いのかぁ!?
冒頭の約3分のシーンにまずド肝を抜かれ、
全編ハンドカメラ風の演出が映画っぽくなく新鮮で、
ミュージカルシーンも必然性があって良くて、
何より、ストーリー展開がものすごく悲しくて残酷。
人生、真面目に誠実に優しい心で生きていても、辛いことばっかり……
この映画を涙なしに感極まることなく観られる人って、ある意味すごいよぉ(^^;
本気でスクリーンから目を逸らして観れない場面があった。おお!


ペイ・フォワード[可能の王国] (12/27)
この作品を一言で表現するならば“西川きよし”みたいな映画。
“小さなことからコツコツと……”である(笑)
まあ、観る人によってこの映画への評価は善し悪し様々だと思う。
僕は最後の展開がどうにも納得できない。必然性を感じない。
それにキャスティングといい、内容といい、アカデミー狙いなのは見え見え。
でも多分、候補されるんだろうなぁ。感動する人も多そうだし。
音楽もな〜んか「アメリカン・ビューティー」に似てるなぁと思ったらトーマス・ニューマン(^^;
無難に良い映画って感じ。とりあえず話題になるでしょう。


ふたりの男とひとりの女 (12/12)
ジム・キャリーの“笑い”は僕のセンスと合わない……そう思ってた。
でも「ライアーライアー」「トゥルーマン・ショー」「マン・オン・ザ・ムーン」等、
最近の主演作を観て、僕の中でジム・キャリーへの好感度がアップした。
しかも今回の作品は「メリーに首ったけ」のファレリー兄弟が監督。
お下劣で超おバカな映画だろうと少し期待していた。
にも関わらず、意外とおバカ度が弱かった。おバカさだけが楽しみだったのに……
笑えたのはジム・キャリーの表情だけ。ううむ、この映画は観なかったことにしよう(^^;
“笑い”は「Mr.ダマー」以下かも知れん。ちなみに公開は2001年2月くらい。


ホワット・ライズ・ビニース (12/1)
サイコサスペンスもの“セオリー通り”の展開。
何かが起こるのでは?的なアングルと恐怖感を助長する音楽、そして叫び。
こんな作品が全米で大ヒットしたなんて興醒め。
ハリソンも本当にこの映画に必要だったのかぁ?誰でもいいじゃーん!
“結末は決して誰にも明かさないでください”って宣伝してるけど、
あのチープな結末を人に喋られて広まってしまうと、
客足が遠退くのを恐れているんやないのかぁ?
そういう意味で、東宝にとっては恐怖映画なのかも(^^;


シックス・デイ (11/28)
「トゥルーライズ」ほどの出来の良さはなく、
「エンド・オブ・デイズ」よりは遥かに良かった。
でも違う例えをするなら、大晦日に紅白歌合戦を見て、
正月になったら初詣行って、おせちを食べるような映画。
つまり、“あたりまえ”な感じ……。
まあ、それでも美味しいおせちなだけマシ。
シュワちゃんの映画はみな同じようなもんだね(^^;
2時間ずっと緊迫して観ることはできたけど。


オーロラの彼方へ (11/22)
ある日突然、30年前の(生前の)父親と無線で繋がる……
というファンタジーなのだが、親子の感動ドラマの域に止どまらず、
見事にサスペンス映画でもある。むしろサスペンスの要素が強い。
2つの時間軸があるにも関わらず、上手く、分かり易く描けている。
冒頭のツカミがOK!ファンタジーでありサスペンスもある!よく出来た映画だ。
今年観た映画の中で、僕的には確実にベスト5入り。
今度の正月映画では一番良いんじゃない?
では最後に、観た人だけが共感できるツッコミを……
“知らん人がどこかで不幸になってるんちゃうの〜?”


カル (11/5)
僕は邦画大好き派なんだけど、邦画は邦画の良さがあり、
ハリウッド映画と比較するのは基本的にナンセンス。
そういう観点で、韓国映画も他国と比べるのは良くないんだけど、
でも韓国映画はハリウッドに負けず劣らず!って思う。
まあ派手さとか娯楽度は良い意味でも悪い意味でもアメリカはスゴイ。
だけど映像センスや脚本の緻密さ等は韓国も立派なもん。
この作品、観終わっても謎が残る点がもどかしくてハイセンス。
まあ不親切っちゃあ不親切だけど、その不親切さが良いね(^^;


この胸のときめき (10/27)
音楽が良かった。全編のスタンダードなジャズが一番印象に残った。
事故死した妻の心臓が移植された女性と旦那が偶然に恋に落ちるという話で、
まさに映画ならではのラブファンタジーではあるが、
展開にあまり無理を感じず、わりと自然な流れだと思えた。
そういう意味で言うと、他のラブストーリーものより納得度は高い。
何より主人公の脇で盛り上げるジジイ軍団がいい味で楽しい。
ただ、ふたりが心臓移植の患者とドナーの夫だと気づいた時のそれぞれの気持ちが、
いまいちよく分からん。悲しいの?切ないの?愛に疑問を感じてるの?
混乱してるのは確かなんだろうけど。


スイート・スイート・ゴースト (10/15)
まさに僕が大好きなタイプの王道と言える映画。
もう僕の中ではベタの中のベタってくらいに胸がキュンとなる話だった。
ただ、個々のエピソードの描き方が少し薄っぺらい気もした。物足りなかった。
“青春”にいつまでも執着し続けてしまっている僕にとっては嬉しくも悲しくもなる映画で、
胸が「キュン!キュン!」と鳴りまくってうるさいくらいのシーンが幾つもあった。
「忘れない。忘れられたくない」……そんな想いを強く感じた。
小島麻由美の主題歌が良くって、観た後にCDを買おうとしたが、
CDショップに置いてなかった(^^;


17歳のカルテ (10/4)
日本ではウィノナ作品が同時期に公開されてて、「オータム〜」は拡大公開だけど、
この作品がミニシアター系なのは納得。とても地味な映画だ。
彼女はヘンテコな映画に出演することが多いから、そんなのはやめて、
製作者として自分の作りたい作品に徹する方が良いかも。
ウィノナよりアンジェリーナが目立って評価されてる映画だけど、
本当はウィノナの役の方が演じるの難しいと思うんだなぁ。
ウィノナより周りの患者の方が症状が重いので、
ウィノナに感情移入しやすく見易い。でももう一度言うけど……地味で暗い話。


インビジブル (9/28)
Oh!ベリ〜ナイス!エロ映画!(笑)
透明人間になったケビン・ベーコンが、身近な女性にイタズラするわレイプするわ…
私利私欲が剥き出しになった悪人の役がピッタリなケビン・ベーコン!(^^;
前半はエロ映画で、後半は「エイリアン」と化す。もうなんて分かり易い映画なんだぁぁぁ。
「マトリックス」もそうだけど、CG技術を駆使すると、まるでアニメ映画になるね。
心から共感できて泣ける映画を好む僕だけど、意外とハマってしまったような気もする。
姿が消えモラルも消えたら、自分ならどうするだろう?とか考えちゃいました(^^;
ベタ過ぎる程ベタな古典的結末にも逆に安堵感を覚える…なんてね。


オータム・イン・ニューヨーク (9/21)
久々に大スクリーンで見るウィノナに感激!
リチャード・ギアとラブラブ状態の時の彼女は特にカワイイ。
でもなんか、急に歳とったなぁ…と思った。苦労してんのねぇ(^^;
紅葉するNYを背景に流れるジャズ音楽。美しい映像。ジョアン・チェン監督ってセンス良いかも。
ちょっとNYを訪れたい気持ちになったよ。色づく秋のセントラルパークなんか良いねぇ。
それにしてもリチャード・ギアが演じるプレイボーイのウィルは最低だぁ!許せん!嫌な奴だ!
だから彼の気持ちに同化して観ることができなかった。そういう意味では映画に入り込めなかった。
ストーリーは分かり易い誰でも感涙するタイプのベタなもの。周りの女性客は皆泣いてたなぁ。


ミュージック・オブ・ハート (9/14)
音楽クラスを救うための大規模なクライマックスのコンサート。
そしてそれが実話であるということ。
この映画の感動的な要素はそういったところなのだろう。
でもでもでも、とっても退屈でつまんない内容であることも否めない。
僕的にこの映画を簡単に説明するならば、
メリル・ストリープが別れた夫や子供に対してヒステリックに怒鳴っていて、
その合間にヴァイオリンを教えるシーンがあるだけの話。


マルコヴィッチの穴 (9/8)
意外にも悲しくて残酷な話。
人の深層心理に潜む嫌な面を奇抜な展開とシュールな笑いで見事に描いている。
脚本も監督の映像センスも素晴らしい、未だかつてない逸品。
観終わった時、決して爽快感はないが、いろいろと考えてしまう。
ニンマリ笑えるシーンも多く、シュール好きな人にはたまらない。
マルコヴィッチ自身が“マルコヴィッチの穴”に入るシーンは圧巻!
大きな声では言い難いが、小さな声で「オススメ!」な作品。
ところで、ウィノナ・ライダーはどこに出てたの?(^^;


キッド (9/5)
こういうファンタジー路線でピュアな映画は大好き。
期待してただけのことはあった。嬉しい作品だった。
大人になって見失った何かを思い出させる…というテーマはベタだが、
でも、それはいつの時代にも不可欠なテーマであり、
時折、そんな王道的な作品が作られて然りだと思う。
最後は意外にも寂しい終わり方をするのか?と悲しい気持ちになったけど、
クライマックスのオチはとても気に入った。ああ言いたい!
ファンタジックな映画に科学的な解析を求めちゃいけないよ(^^;
聴くだけで嬉しくなったり悲しくなったりするマーク・シャイマンの音楽も素晴らしい。


60セカンズ (8/28)
予想通り、つまらない映画だった。寝てしまいそうになった。
例えば、観て良かった映画が一冊の充実した本だとすれば、
この作品は通勤通学途中に電車内で読み捨てる週刊誌のようなものだろう。
暇つぶしには最適だが、いつまでも心の本棚に残しておくような作品ではない。
映画の作りや構成が悪い訳ではないのだが、
根本的に、こんな話をなぜわざわざ映画にしたの?って感じ。
ニコラス・ケイジは60秒で車を盗むが、
僕は“この映画つまんない”と気づくのに60秒もかからなかったよ(^^;


ホワイトアウト (8/17)
大きな映画会社が大規模に作る邦画ってモサ〜イ感じになるね。
それ故に壮大な感じがしなかった。せっかく雪山のダムでロケしてんのにね(^^;
妙に顔の知れた役者ばかり使ってるのも興醒め。
織田裕二の魅力もスクリーンに出きってない気がした。松嶋菜々子は論外。
どうせなら『ダイハード』のブルース・ウィルスみたいに、
無茶でも織田裕二ひとりが大活躍して事件を解決するような内容にしてほしかった。
だってこの話、テロリストの内輪である程度事件が終結しちゃってるよねぇ。
あと、織田裕二&石黒賢のツーショットって、なんか別のドラマ思い出さない?


M:I−2 (7/25)
さすがジョン・ウー!スゴイね!アッパレ!もうお手上げ状態!
見せ場、見せ場の連続で、次々と展開される圧倒的なアクションシーンに笑うしかない。
あそこまでやっちゃうとマンガだねぇ(^^;
ただ、話は驚くほど単純明快。小学生の作文並み。
こういうタイプの映画にストーリーなんて関係ないかぁ?
とりあえず楽しめる映画であることは間違いないけど、
でも、変装シーンが多過ぎ。もう何でもありじゃん!?
どうせなら、登場人物全員がトム・クルーズだったというオチにすりゃええねん(^^;


ザ・ハリケーン (7/21)
人種偏見を根底のテーマに据えた話は、ほとんど身近に感じられないので、
特別、テーマに添って心動かされることはなかった。
でも、映画の構成は良く出来ていてセンスがあった。
前半は、主人公の子供時代から投獄に至る迄の人生を描き、
後半は、彼の自伝に心打たれた少年との交流を描く。
時間軸が何度も移動する構成にも関わらず、ややこしくなく観易かった。
“信じてくれさえすれば空だって飛べる。でも信じてくれないなら歩むことすら出来ない”
…改めて、そう感じた。


パーフェクトストーム (7/19)
漁船が大嵐に襲われるというスペクタクル海難ムービーだが、
海上でトラブる迄の最初の1時間が退屈だったなぁ。
登場人物のキャラや生活背景の紹介は30分で済ませてほしかった。
でも、荒れ狂う波、圧倒的な強風…そんな映像は臨場感たっぷりでスゴイ迫力。
恋愛話抜きの「ミニミニ・タイタニック」って感じかなぁ(^^;
海は怖いよ。ヘタなオカルト映画よりも怖い。
だって大西洋にひとりぽっちで居るところを想像してみてよぉ!
泣きそうだね。いや、泣くね。


リプリー (6/30)
この作品をひと言で表現すると…火曜サスペンス劇場風ホモ映画!
とってもとっても完成度の高い、最高傑作の火曜サスペンスって感じ。
↑褒めてんのかバカにしてんのか分からないけど、褒めてるつもり。
雰囲気のある映像だし、全編に流れるジャズ音楽も良い。
展開がダラダラしてないので退屈しないし、先が気になる話。
心に残るような作品ではないけど、充分楽しめる要素は揃ってる。
マット、ジュード、グウィネス、ケイト…役者陣も豪華だしね。
でももっと完全犯罪的計画かと思っていたのに、意外と行き当たりばったりなのねぇ(^^;


グラディエーター (6/28)
スペクタクル大巨編!という表現が最も相応しい作品。
勧善懲悪もので話も分かり易い。感情移入する対象がハッキリしてる。
戦い、血が流れるシーンの連続で、最初から最後まで緊迫感が持続するので、
そういう意味では観ていて退屈はしない。見入ってしまう。
でも、好きか嫌いかで言うと、僕はこういうタイプの映画はあまり好みじゃない。
まあ、つまらない映画を観るよりはいいけどね(^^;
新皇帝の座についた息子…石原良純に似てない?
あと、相変わらず上映中に携帯鳴らす都市生活不適応者がいるんだよなぁ…


サイダーハウス・ルール (6/22)
僕自身、今年一番の期待作であり、泣ける!と思っていた。
この映画は、堕胎のこと、父と娘のこと、戦争のこと…
様々な問題が描かれつつ、ひとつのテーマに向かって集約される。
でも多くを語らず、とてもとても地味で、これといった盛り上がりもなく話が進んで行く。
地味な話も僕は好きだ。でも結局、泣くことはなかった。
心に響くテーマとか、そういうシーンを感じなかった。悪い映画ではないんだけどなぁ(^^;
トビー・マグワイアの抑えた演技は好感が持てた。


スチュアート・リトル (6/20)
昨年の夏、全米でヒットして以来、待ちに待った日本での試写会。
でも、大きく期待を裏切られてしまった。こりゃダメだ。
CGや映像が幾ら上手く出来ていても、話がおもしろくないとつまらない。
脚本は「シックス・センス」のM.ナイト・シャマランだから楽しみにしていたのに、全然良くない!
小さな見せ場は何箇所かあるが大きな山場がない。しかも淡淡としたストーリー展開。
大人も楽しめるエンターテイメント作品として成立してない映画だった。
でも、全米でヒットしたから、続編もあるんだろうなぁ。もうええっちゅうのに(^^;


エリン・ブロコビッチ (6/16)
ジュリア・ロバーツが好きな人なら、彼女が写ってさえいれば満足なのだろうが、
あいにく僕はそうではない。なので純粋に映画の出来が評価の対象となる。
つまんない作品だろうなぁ、と思い期待してなかったけど、これがなかなか上出来。
必要なシーンとそうでないシーンをよく分かって作ってあるし、
主人公のキャラも活かされてるし、要所要所に(誰でも笑える)ユニークさもある。
2時間、退屈することなく観ることができた。
最近観た「エニイ・ギブン・サンデー」「ミッション・トゥ・マーズ」より数百倍は良かった(^^;
映画は最低でもこのくらいの充実感が伴わないとダメだねぇ。